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日経に長沢さん

 本日の日本経済新聞夕刊関西面にフレームビルダーの長沢義明さんが取りあげられている。

<こだわり人>理想の自転車0.1ミリの技――ナガサワレーシングサイクル代表・長沢義明さん

自転車からハンドルやサドル、車輪などあらゆる部品を取り除いて残った骨組みをフレームという。自転車の乗り味を決定する最重要部だ。長沢義明さん(60)は自転車作りの本場、イタリアで技術を習得したフレーム製作の第一人者。30年間、競輪など競技用フレームを、乗り手の体格に合わせて1台1台オーダーメードで作り上げている。

 夕刻、大阪府柏原市の長沢さんの工房を訪ねた。仕事を始めるのは日が暮れてから。「電話や接客から離れて製作に集中できるし、イタリア時間に合わせた方が調子が上がるんだ」と笑う。

 フレームはクロモリ鋼という合金のパイプを溶接して組み上げる。乗り手の体格や力量に応じてパイプの長さをミリ単位、厚みも0.1ミリ単位で調整する。「ペダルを踏み込んだ瞬間の反応」といった抽象的な要求に緻密(ちみつ)な設計で応える。

 設計だけでは良いフレームは作れない。パイプは溶接の熱で膨張し、ゆがみが生じる。「少しでもゆがんだフレームは乗り手の力がうまく伝わらず、競技用として使い物にならない」。熱膨張を計算し、治具を使って何度も水平を確認してから溶接する。

 工程をすべて1人でこなすため、生産は週に7、8本が限界。納期も最低半年はかかる。価格はフレームだけで最低16万円。注文は「9割以上はプロの競輪選手から」だ。それでも長沢さんのフレームにあこがれ、注文するアマチュアが後を絶たない。

 こんな時、まず断るのが長沢流。自転車の乗り方を指導し「乗れている」と認めた人の注文だけを受ける。2年間通い詰めてようやく、という例もあるほど敷居が高い。

 長沢さん自身も学生時代は自転車競技でオリンピック候補に選ばれるほどの選手。練習中の交通事故で選手生活を断念し、大学卒業後、メカニックの道を志し単身イタリアに渡った。6年間、デローザなどトップメーカーの工房で働くうちにフレーム製作の技術を習得した。

 試作したフレームが欧州遠征した競輪選手の間で話題になったことで、帰国してイタリア流の本格的な自転車工房を設立。以来、中野浩一など競輪のトップ選手向けにフレームを提供してきた。

 職人技を駆使して完成したフレーム。走ることに価値ある自転車だからこそ、乗り手に対する要求も自然と高まる。「職人とか匠(たくみ)とか言われても、自分はただの自転車バカなんだよ

 中野浩一の世界選手権10連覇のフレームで、アルカンシェルを巻くことができるってあたりも盛りこんでほしかったところ。
 世間的には「自転車からすべてのパーツを取り除いたものがフレーム」なんやろうなぁ。サイクリストからみれば「フレームに部品を取り付けたら自転車になる」って感覚なんだけど。「世界を制したナガサワがわずか16万円で手に入る」っていうよりも、「部品もついていない単なるフレームなのに最低16万円もする超高級品」ってところなんだろうし。